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広島高等裁判所 昭和24年(う)97号 判決 1949年12月15日

被告人

本田政巳

主文

本件控訴を棄却する。

理由

弁護人渡部利佐久の控訴趣意は末尾に添附した別紙書面に記載してある通りであつて、これに対する当裁判所の判断は次の通りである。

控訴趣意第一点について。

刑事訴訟法第二百九十九條第三項、刑事訴訟規則第百九十條第二項後段は、裁判所が職権で証拠調の決定をするについては、檢察官及び被告人又は弁護人の意見を聽かなければならないと規定しているが、この意見を聽かないで決定した証拠調に基く証拠そのものを無効とするという規定はないのである。從つて、裁判所はたとえ、職権による証人尋問の決定について前掲の意見を聽かなかつた場合であつても、苟くもその証人尋問が適法に行われ、且つその証人の供述内容が信用するに足るものである以上、これを証拠として採ることは、裁判所の自由裁量に属するところである。

しかして、原審第一回公判調書によれば、原審が職権による証人堺本幸藏尋問の決定をなすに当り、檢察官及び被告人又は弁護人の意見を聽かなかつたことは、論旨が指摘している通りであるが、同第二回公判調書によれば、右証人の尋問は適法に行われていることが明らかであるから、原審が右証人の供述を罪証に供したからというて、原判決には、所論のような違法はない。論旨は理由がない。

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